ゆきちゃんの
おいしい中国語

爆/高温の油で瞬時に炒める




 「中華料理って、ほとんど炒めものでしょ?」以前、そう言われた時、情けないことについ「ええ」と言ってしまった。その時は、とっさにうまく説明できなかったが、しかし「炒める」といっても、いろいろな炒め方があり、どんな炒め方かはっきりさせないと、中国語では表現できないことになっているほど「炒める」奥行きは深い。最も短時間で炒めるのが「爆(bao)」だ。文字通り、強烈な炎であっという間に仕上げる炒め方。爆発するように吹き上げる炎の上で炒められた料理は、肉なら外側がカリリと響くような香ばしさで中が柔らかく、野菜などはシャキシャキ歯ざわりがすばらしい。もちろん材料は必要に応じて事前に僅かに火を通しておくことが多い。その上で一気に「爆」して、切れのいい炒めものに仕上げるのだ。家庭用の弱々しい炎ではほとんどお手上げかもしれない。自らを振り返ると、家庭用ガスコンロで、もたもた炒めた料理をよく作ってしまう。結果、やっぱりなあ・・・というふがいない出来。家庭では無理だとあきらめていたら、ある時、北京の友達がつぶやいた。「とにかくカンカンに鍋を熱くして、ほんのちょっぴり“爆(bao)”したら、まあ食えるよ。」
 半信半疑、試してみたら見違えるようにおいしくなった。ただし僅かな量しか「爆」できない。しかも、夏の「爆」は暑くてたまらないから、冬季限定。試すなら今だ。
〈浅山友貴〉



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