台湾の大学生事情
浅山友貴(台湾・銘傳大学)


イラスト/浅山友貴




台湾では、60%の高校生が大学へ進学するらしい。6.5%しか進学しない中国の学生と比べて、台湾の大学生は、どことなく幼くてのんきな感じがする。別れ際、笑顔で手のひらをバイバイと振ったりするジェスチャーも印象的。話し方も、同じ北京語かと思うほどかわいらしく、語尾を伸ばして柔らかい感じがする。
台湾の南と北では、学生の気質が違うらしい。学生の表現によると、台北出身の大学生は「見栄っぱりでおしゃれでピカピカ」、一方、南のほうの大学生は、素朴で質素で「大変人情に厚い」のだそうだ。
思いつくままに、いくつか印象的な風景を拾ってみよう。
早朝の教室で印象的なのは、学生達が教科書を開いて、堂々と何か食べていることだ。「オア麺線」という牡蛎(オア:台湾語)とブタの腸入りの細麺のスープや、「玉米濃湯」(コーンスープ)、「刈包」(中華風蒸パンにブタのばら肉を煮込んだ具をはさんだもの)等を買って、教室で講義を聞きながら食べている。お菓子とかキャンディーではなく、しっかりと食べる。
授業中の食事は、非常に気になる。やめてほしい。しかし、台湾人の厳しい先生が「私語は絶対許さない。」と言われた後、ぶつぶつと「軽食はしょうがないが。」と付け加えたのを聞いて以来、何も言わないことにした。大きな会議でも点心が食べ放題だったり、お弁当がついていたり、食事を抜くというのは耐えられないらしい。
学生の楽しみは、インターネット・サーフィン、ウインドーショッピング、サークル活動、夜市(軽食の店を中心とした屋台街)をぶらぶらしておしゃべりをしたり、KTV(カラオケ)に行ったり、仲間と公園などでバーベキューをしたり(仲秋節も、家族でバーベキューをする習慣がある)、キャンプ場や国内へ貧乏旅行をしたりすることだ。海外へ旅行する学生も多い。旅行のためにコンビニの店員さんや塾の先生等のアルバイトをして貯金をしている。
最近の変化は、日本の若者文化がブームになっていることだ。「日本大好きNO.1テレビ局!」と叫ぶJETテレビでは、ドラマやバラエティー番組を一日中放送している。少し前は「美麗人生(ビューティフル・ライフ)」、今「夏之雪(サマー・スノー)」等が放送されている。この春、日本で放送されたばかりのドラマ「HERO」の情報を既にインターネットで入手して、放送を楽しみに待っているという人もいた。
 ある学生は日本語の作文が非常によくできて驚いたのだが、岡山県の高校生とメールのやり取りをしているということだった。時々チャットにも参加して日本の学生とおしゃべりしているそうだ。
中国でもインターネットが普及して、自分のパソコンを持つ大学生が増えていると聞く。こうして学生同士の仲間の輪は国境を越えて広がっていくようだ。


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