泡飯(パオファン)/お茶漬け




中華料理の対極にありそうなのがお茶漬けかもしれないが、中国にもお茶漬けらしきものはある。その名を「泡飯」。(「泡(pao)は浸すという意味。お茶の葉にお湯を注ぐことも「泡」という。)
 この「泡飯」は、スープなど汁物にご飯を浸して食べる食べ方で「汁かけご飯」のようだ。残ったスープを利用した、間に合わせの朝食や夜食といった感じかもしれない。お粥ほどドロドロしないので、お米の粒粒感があり、スープもさらさらしていて重くない感じ。お粥よりもおいしいと思うこともある。
 北方のスープは比較的あっさりして、澄んだスープがお茶漬けっぽい感じ。さらさらと食べられる。一方、南方のスープは比較的ダシが複雑で濃く、具も豊富なので雑炊のよう。残り物ごはん…と言うのが悪いようなおいしさだ。
 強火で炒める炎の芸術…中華料理というと、そんなイメージがあるが、いつもそんなに頑張って炎の芸術を作っているわけではないらしい。頑張らない気楽な食事もいろいろある。家庭でささっと食べる手抜きごはん。スープをたっぷり作った後の楽しみ。ただし「鯛茶漬け」みたいなちょっといい食事のイメージはないので、どんなにおいしくても「泡飯」を中国人の友達にわざわざごちそうしてはいけない。
 あくまでも気楽な手抜きご飯なのだ。
<浅山友貴>


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