聞(ウェン)/香りをかぐ




 台湾で、初めてお茶を買おうとした時「烏龍茶をください」と言ったら店員さんに苦笑されてしまった。それは、まるで日本の酒屋さんに入って「日本酒ください」と言ったようなものだった。「これは1斤6百元、こっちは半斤8百元、香りが違うでしょ?」(1斤=5百g)店員さんは、タイプの違うお茶を試飲させてくれた。店員さんの指導で、飲む前にまず香りをかぐ。この香りをかぐことを「聞(wen)」と言う。若々しいレモン色の烏龍茶は、味が清淡で香り高い。全身の疲れがとんでしまう。黄金色のは、爽やかな丸い渋みと豊かな味。暖かく体が和む。店員さんと話すうち、お茶を買う時は、値段、香り、味の濃さ、発酵の進み具合等の特徴を告げて、茶葉を買うということがわかってきた。結局、お茶関係の中国語少しと、特徴の違う2種類のお茶を入手して帰宅した。少し自信をつけたので、後日、更にいいお茶を見せてもらった。まるで、缶をあけた途端、茶葉の香りに襲われる感じ。平静を装って「もっといいのはないの?」と聞くと、ミルクの香りのする茶葉を見せてくれた。不思議な世界に一歩踏み込んだようでドキドキした。更に、金木犀、茘枝など、薫り高いお茶を「聞」し、気に入ったものを量り売りしてもらった。
 結論。お茶は飲むことのできるアロマテラピー、森林浴、花園めぐり、果物狩り、深呼吸装置。飲むだけではもったいない。
《浅山友貴》



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