※【南翔饅頭店】の《小籠包》

世界の街角で

上海・杭州を見た、味わった!

文・写真/齋藤健一郎(「菜香新館」調理部)
 
 上海浦東空港着、そのまま杭州に直行。上海からの距離2百キロを2時間かからずに到着!
 【状元楼】の《爆炒鮮冬筍》(姫タケノコの炒め物)はタケノコの新鮮さと柔らかさ、味付けも最高!《清蒸野生鰻》(天然ウナギの姿蒸し)の見た目はヘビだが味はグー。《龍井蝦仁》(エビのロンジン茶炒め)は龍井茶を使う杭州の名物。
 【和茶館】で龍井茶を注文。次々お茶請けが運ばれ、取り放題である。ゆでタマゴのお茶煮《茶鶏蛋》に目が止まる。割ってみると!!!なんとかえりかけの卵!杭州でお目にかかるとは!みな恐る恐る口に入れてみる、プロ根性である。そうわれわれは料理人だ。味はまさしくタマゴと鶏肉を合わせたような味、少しくせがあり日本人向きではない、見た目も…、しかしここに来る人にはぜひ食べることをお勧めしておこう。

※杭州名菜《龍井蝦仁》


※【張生記】のにぎわい



※【蘇斬匯】の蒸し●

 西湖に向かう。気分は観光、いやこれは出張である。その国の文化や歴史を見るのも勉強だ。
 【青衣】に行く。ここは肉・魚をまったく使わない精進料理の店である。ナマコの刺身、ブタ耳の和え物、魚の姿揚げにツブ貝の炒め、どれも見た目と食感が本物に似ていて驚かされる。
 【玉珍瓏】は「創意中国餐」とうたう。内装は赤く派手、ユニフォームは黒、スマートな感じをねらっているのか?フォアグラのソテーは日本円で5百円しないがあまりうまくない。地元の人がオシャレに使うならよいが本場の中華をイメージして行くならバツである。一行の中には「創作料理は料理人の自己満足だ。」との意見も。少し耳が痛い…、一発勝負の料理はだれでもできる、同じ品質の物を持続するのが大変で難しいのだ。
 杭州を訪れる人の口から必ず出る店【張生記】へ。オーダーを取っている最中に前菜が出てくる、速い。ヘビも食べた、香辛料で味付けして揚げてあり、臭みもなくおいしい。それにしてもこの店は大きい、2千人近く入るという、調理場は2百人近いそうだ!横浜中華街【菜香新館】の4倍の規模である。安くてボリュームがある、「薄利多売は質を下げる」というがそれをまったく感じさせないし料理もすこぶる速い、見習うべきところだ。
 ホテル裏の市場は小さいが地域に密着した市場で野菜も新鮮。肉まんと野菜まんを食べた。皮が抜群にうまい。日本でもなかなかお目にかかれないだろう。  車で上海へ向かう。相変わらず速い。昼食は【鼎泰豊】、新宿の高島屋にも出店している。目当てはここの《小籠包》、ジューシーで皮が薄い、うまい。制服・食器はすべて白で、清潔感がある。  下町をブラブラ。店先にすごい行列ができている焼きまんじゅう屋があった。蒸してから焼くのだ、黒酢をつけて食べる。超ジューシーでうまい!  【蘇斬匯】は上海の日本人もよく利用するレストラン、《金華ハムの蜜煮》と《蒸し》がここの売り。はこの地方にしかいない魚で、昔は馬で北京に運び皇帝に献上されたそうだ。味は白身魚と青魚の中間か。ここのナマコは大味、【菜香新館】のナマコは特級品を使っているのでおいしい、つい比べてしまう。タケノコの炒めと豆苗の炒め、やはり旬のものはうまい。


※上海浦東空港で、筆者


 今日は豫園にある【南翔饅頭店】の《小籠包》。ここは《小籠包》のみしか置いてない。【鼎泰豊】より皮は厚め、うまい。粉もの好きにはこちらがよいだろうか。地元の人もたくさん並ぶ名店である。  中国で数々の伝統料理を味わい、地方ごとの特産物を使うことのよさを再認識した。  横浜中華街は日本の中華料理の本場である。観光で来る人は王道のものを欲するだろう、一方、地元の人も来る…、「伝統と創作のバランスをうまくとらないといけないな。」と、斎藤は考えさせられた。

【戻る】


【PERINETホームページ】【PERINET企画サイト】


webmaster
Copyright(C)2002 PERI