紹興酒の話(2)

曽慕蓮(元・山西師範大学)

イラスト/浅山友貴  訳/豆彩編集部


 紹興酒は中国酒の至宝です。その味わい方にもそれなりに気をつけることがあります。紹興酒特有の芳香を存分に楽しむために、【元紅(げんこう)酒】と【加飯(かはん)酒】を飲むときは一般的に40度くらいまで温めるのがよいでしょう。このとき絶対に直火にかけてはいけません、酒の入った容器を湯に入れて加熱するのです。こうすれば酒も冷めにくくなります。湯が冷めたら熱い湯に換え、酒が一定の温度を保つようにします。
聞くところによると日本では紹興酒に氷を入れて飲む人もいるそうですが、これもまた違った味わいを楽しめそうですね。まさに「青菜も大根もそれぞれ好むところがある」といったところでしょうか。紹興酒を飲むときの杯は容量30ミリリットルくらいの磁器が適しています。杯が小さめのほうが会食時に絶え間なく酒を勧めたり乾杯を繰り返したりできますから、中国人が重視するにぎやかな雰囲気をさらに盛り上げることでしょう。

 そしてまた、ワインによってそれに合う料理が変わってくるのと同じく、紹興酒の中でも【香雪(こうせつ)酒】は糖度とアルコール度が比較的高いので一般的には食前酒または食後酒にします。【加飯酒】は前菜と合い、【元紅酒】はトリ・アヒル・魚・肉などの料理と、そして【善醸(ぜんじょう)酒】は甘い食品とよく合います。このように取り合わせることで酒と料理に相乗的な効果が生まれます。

 何年か前、中国大陸では紹興酒に話梅(ファメイ/乾燥した中国の梅干し)を入れて飲むことがはやりました、味もなかなかのものです。1940年代末のことと聞きますが、台湾にいた多くの江蘇・浙江出身の人々が、紹興酒を欲しながらも手に入らないので台湾の地で紹興酒の醸造を始めましたが、原料と水質の違いから味が本場物のようにはならなかったそうです。そのうちある人が偶然、話梅を入れると酒の味がよくなることに気づき、それがだんだん広まっていきました。大陸と台湾の交流が増えるに従い、今では本場物の正統紹興酒にも錦上花を添えるごとく話梅を入れるようになりました。

 紹興酒は食欲を増進させ場を盛り上げ健康によいというだけでなく、調理に欠かすことのできない調味料です。その名を聞くだけでよだれが出そうな杭州名物の「東坡肉(トンポロー)」は水の代わりに紹興酒で煮込みます。紹興酒は肉類を柔らかくするだけでなく、肉や魚の生臭みも取ってくれるので、魚類を料理するときも欠かせません。このほか漢方薬を服用するときにも、補助薬として紹興酒を使い薬効を引き出したりします。こうしてみると紹興酒の用途が広範囲にわたることがわかるでしょう。たくさんの効能を持つ酒、といえばまず紹興酒が一番に挙げられるのです。

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