言葉の風景
譚 佐強
中国もデジタル化時代へ
 日本では2003年12月1日から地上デジタル放送が開始され、テレビ放送が本格的デジタル化へ向け発進した。デジタル(digital)という英語は、もともとは指という意味で、そこから指折り数えるという発想で数字という意味が加わったようだ。外来語にカタカナを使用する日本では、英語の読みからそのまま「デジタル」という新語が生まれたが、漢字しか使えない中国では、漢字での音訳または意訳しか方法がない。デジタルについては意訳の数字が使われた。
 日本で地上デジタル放送が開始されるとの予告があってから間もない2003年11月、中国で「我国有線電視正式開始従模擬向数字整体転換(わが国のケーブルテレビのアナログからデジタルへの全面転換が正式に開始された)」とのニュースが報じられた。
 中国語で「デジタル」が数字と表現されたのは、ごく自然ななりゆきだと思うが、最近流行のデジタルカメラについては、なぜか数字ではなく、数碼という単語が使われている。すなわち、デジタルカメラは数碼照像機または数碼像機と呼ばれており、そのため、デジカメの付加機能であるズーム機能のうち、デジタルズームは数碼変焦と呼ばれている。
 数碼にも数字という意味があるようだが、なぜデジカメの場合は数字照像機ではなく、数碼照像機になるのかは、よく分からない。いずれにしろ、デジタルを意味する中国語に数字数碼の2つの単語があることだけは確かだ。数碼照像機も目下のところ中日辞典には、まだほとんど掲載されていない新語である。
 日本では2011年にアナログ放送が終了するようだが、前述の中国のテレビ放送のデジタル化に関するニュース報道によると、中国でも2015年にアナログ放送が終了するとされている。デジタル化の波は中国にも急速に押し寄せてきたようだ。
(Tan Zuoqiang・翻訳業)

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