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中国の少数民族、特に南方の少数民族の、色鮮やかで手の込んだ技法の刺繍は魅力的。 色、形、模様はその地の生活から生まれた芸術品。 作る人、身につける人の気持ちが表れてあたたかい。 |
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| 雲南省・白族の帽子 子ども用。避邪を願う。 |
苗族のよだれかけ 旧時、婚礼時に用意された。 吉祥図柄・虎などが刺繍される。 |
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| 瑶族の衣装 吉祥紋を独特の幾何学的文様に表す。ピンクの糸の細かい刺繍は、織物に見えるほど。 |
白族の背帯 赤ちゃんを負ぶう背帯。 下部のパッチワークの部分が、白族がよく使うデザイン。 |
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| 貴州省・苗族の衣装 苗族の台江もしくは雷山の衣装。使われている皺繍の技法はこの地域独自。 |
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| 刺繍の方法 | |||
![]() 双針辮繍 shuangzhenbianxiu |
![]() 平繍 pingxiu |
![]() 十字繍 shizixiu |
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| 二つの針を編み糸の両側に通して縫い付ける技法。縫い目が整っていて、本当にキレイ。 |
サテンステッチ。難しい技法ではないが縫い目がびっちりと均一に埋めてあるものが多く、その細かさ、色の組み合わせのセンスは驚き。 | クロスステッチ。技法的には大変ポピュラーで、これはハニ族の刺繍。各民族に独自のデザイン・色づかいがあります。 | |
![]() 打子繍 dazixiu |
![]() 釘糸繍 dingsixiu |
zhouxiu |
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| バリオンステッチ。飾りたい場所をみっちりと玉留めで埋めてしまうという、かなり手の込んだ刺繍法。一つ一つ玉留めを作る。 | 中心に芯(糸など)を据え、その周りに絹糸等を巻いたものを縫い付けていく技法。結構丈夫にできている。 | タック法。手で組んだひもをひだひだに折りたたむようにして縫い付けていく技法。厚みがでて、図案が立体的に浮き出す。 | |
![]() 釘錫繍 dingxixiu |
![]() 編帯繍 biandaixiu |
![]() 堆繍 duixiu |
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| すず留め。細かい金属片(すず箔)を、藍染めなどの薄い布(これも手作り!)につけていく技法。きらきらしてとてもゴージャス。 | 手で組んだテープ状のひもを平面的に縫い付ける。が、この組みひもを作るのが難しい。いちばん簡単なものでも8本の糸を組む。 |
重ね法。1cm角くらいで切った絹の布や紙などを三角に折り、奥から重ねていくように一つ一つ縫い付けていく技法。 | |
| 中国少数民族 刺繍の魅力 |
関恵子 | ||
| 細かく丁寧に縫われた中国少数民族の刺繍は本当に美しい! 実際に多くの博物館に展示されるほど、独自のデザインや色の組み合わせには大きな芸術性が秘められています。そして驚くことに、何度見ても全く飽きがこないのです。 以前、運良く苗族のお祭りを見学したことがあります。きらびやかな刺繍をぜいたくにあしらった衣装を身にまとい、頭には銀の飾りをつけたたくさんの娘さんたちが輪になって踊る光景は、この世のものとは思えない美しさでした。その体験が、私を中国少数民族刺繍の虜にしてしまったのですが、今でも同じくらい好きなんです・・・いや、前より好きになってしまっているかも?!一つ一つ、どんな小さい刺繍にも備わっている大きな力が、そうさせているのかもしれません。 貴州省の施洞という村で、家事を一通り終わらせたおばあちゃんが、おもむろにイスを陽の当たる場所に持っていき、よいしょと座ると、持っていた袋の中から布を取り出しました。それは帽子の形をした布で、ピンクの絹糸で途中まで刺繍が刺されています。「なにを縫っているの?」と尋ねると、「獅子よ。孫にかぶせるんだけど、獅子は縁起がいいから。」と顔をほころばせました。 おばあちゃんの瞳が縫い目を優しく追っています。日ごろの家事で少々荒れた指先が、小さい針を器用に動かし、徐々に威厳に満ちた獅子の形を現していきます。と、そこへ、孫を抱いた娘さんが外から戻ってきました。おばあちゃんは急いで針を抜くと、赤ちゃんに出来かけの帽子をかぶせ、あやし始めました。その姿は幸せそのもの。お祭りのときにニコニコと微笑みながら自分の娘の晴れ姿を見ている、そんな母親たちの顔が一瞬頭をよぎりました。 「心のこもった絵」や「心のこもった曲」が多くの人々を感動させるのは、作り手の「感情(愛情)」によって、大きな輝きを作品に感じ取れるからだと思います。母から子へ、おばあちゃんから孫へ・・・本物の愛情が一針一針の縫い目によって表現された刺繍からは、まぶしいくらいにこの輝きが放たれています。生活に密着したものであるからこそ、ですね。 中国少数民族の刺繍を見たら、是非、小さな村の人々が込めた、そのありったけの愛情を感じてください。 〈ニードルワーク・チャイナ ウェブマスター〉
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