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薫 KUN |
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もう、あの龍を見ましたか?
MM線日本大通り駅真上にある横浜ユーラシア文化館、ここで企画展「そして、龍は舞い降りた‐古代中国の神獣画像‐」を開催中。2千年前の中国・漢代の地下墓室の壁面に彫り込まれた天空の龍、華麗に舞う鳳凰…、現実なのか空想なのか、画像のなんと生き生きしていることか!龍に託した人々の願いが浮かび上がります。
ユーラシアEurasia大陸は、ヨーロッパEuropeとアジアAsiaにまたがる古代の交易路が民族・文化を結びつけた舞台。都市や遺跡が伝えた考古・美術・歴史資料…、東洋学者・江上波夫さんの収蔵品約2千5百点と文献2万5千点の寄贈を受けて横浜市は03年春、横浜ユーラシア文化館を開館した。重厚な外観をもつこの建物は、旧横浜市外電話局。
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福原庸子(ふくはら やすこ)さんは開館前の01年秋から、展示理念・内容・資料調査・展示室設計という同館のすべての計画立案、運営に携わってきた。
「新しい展示施設を建てるという横浜市の「学芸員募集」に、飛びついて応募しました。新しい美術館にゼロからかかわれるなんてチャンスは、めったにありません。」老朽化した建物内部はがれきの山、そこからすべてが始まった。「初めのうちは心細かったのですが、自分の夢がどんどん形になっていくので楽しくて仕方なかった。」市教育委員会や展示検討委員会の学者・専門家に相談しながら1年半、〈比較展示〉という斬新な展示法で開館にこぎつけた。
「理想とする展示法がありました。諸文化を比べられる展示にしましょう、というもので、比べることで共通点も違いも見えてくる、文化のオリジナリティも出てきます。当時〈比較展示〉はまだ流行っていなかったのですが、世界的な動きとしていま、美術館・博物館はこの〈比較展示〉の方法を取り入れようとしているんですよ。」 |
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福原庸子さん
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文化館は「砂漠と草原」「色と形」「技」「装う」「伝える」「交流」という親しみあるテーマで各コーナーが構成される。ペルシァで作られ中国から日本へも伝えられた古代カットガラスの碗は交流の証。
この館の特色の一つは、英語表示が単なる英訳でなく、英語を100%併記していること。『横浜ユーラシア文化館ニュース』も完璧な日本語・英語併記、すべて福原さんが手をかける。「無視されていないと感じられたのはこの館が初めて。」とこの表示を外国のお客様に感謝される、と言う。これは福原さんの経歴を知れば納得。 |
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福原さんは高校1年生を終えてイギリスに渡り、ユナイテッドワールドカレッジに入学。いずれ国際的な仕事をしたいと思い、この、全世界から17歳になる学生が集まり学びあう高校に入学した。「寮生活で仲良くなって、○○の国と聞けば△ちゃんを思い出します。」「各国の留学生がみな自分の国を自慢するんです。誇りを持って自分の国の歴史や文化を語る。ところが私は日本・日本文化、特に美術を知らない。それで、日本に帰って日本の文化をきちんと学び、それを日本語・英語で語れる自分になりたい、と思いました。」
2年後に帰国し、上智大学外国語学部比較文化学科に入学して日本の歴史・文化を学ぶ。授業は英語、ここで中国美術史に出会う。「好きだから勉強する、すると周りがそれを応援してくれる、私は人に恵まれています。」ハーバード大学に進学したら?と勧められ、奨学金を得て86年渡米。同大学院博士課程で東洋美術史(仏教美術)を研究する一方で学生に教え、また大学付属サクラー美術館の学芸員を務めることで展示の実践を学ぶ。帰国後は上智・早稲田大学などで美術史を英語で教えた。江上波夫さんの著作など翻訳多数。
そうした経験のすべてがいま、美術館作りに生きる。「中国美術が大好き。漢代絵画資料はイメージが広がる奥深さが魅力です。」「美術品は人が作った物だから、人間味を加えて展示したいですね。」
横浜ユーラシア文化館
電話045(663)2424 |
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| (インタビュー 新倉洋子)
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