4月、中国各地で反日デモが行われた。
日本の若い人が「中国人は何であんなに日本のことが嫌いなの?」と聞く。戦争を知らない私たちの世代までも国を越えられず、憎しみ合っている姿が、切ない。
近くて遠い国、中国。日本人と似ているようで似ていない中国人。反日デモでその違いを感じた人は多かったのではないだろうか?何が彼らをあそこまで怒らせたのだろうか?
私は北京に5年半住み、美術大学で陶芸を学んだ。中国人の同級生と泥まみれになって作品を作り、一緒に食堂で食べ、ビールを飲んだ。
彼らは一人っ子政策の世代の子どもたちだ。その生活は日本の学生と変わらず、全員がパソコンを持ち、インターネットで通話をし、MP3で音楽を聴き、海賊版DVDで北野武の映画を見ている。そして、日本の文化が好き。芸能人、音楽、小説、若い人たちの考え、あるいは日本の陶芸について聞いてくる。
しかし、そんな同級生も、今回の日本の国連常任理事国入りや教科書問題のように、日中間になにか問題が起きると、スイッチが入ったように日本を嫌う。
その原因の一つは小さい頃の教育にもあるのだろうか。
1年前のことになるが、卒業製作のために中国の浙江省龍泉の山奥に籠った。そこでは毎晩、私たち何人かを村長らが接待をして温かく迎えてくれた。私が日本人だと知ると笑いながら「日本はたくさん中国人を殺している。君はどう思うかね?まあ、これも縁だし日中友好に乾杯だ。」と言われたら断れない私。結局、飲まないと日中友好に反していると言われ10杯ほど白酒(30度前後)を飲んだ。
ちどり足になった私は休憩するために宴会場から下の階に降りた。するとお店の子どもたちがテレビを見ていた。時間は7時台だろうか。子どもたちが見ていたのは日本軍が攻めている物語、罵倒する言葉と鬼のように描かれている日本人がいた。子どもたちはこの映画を見て愛国ならぬ反日を根元に置いて大きくなるのだろうか?悲しくなった。
「大学では集会が開かれていて、デモに参加するように言われたよ。ぼくには何に怒っているのかいまいち見えないけれど、これからの時代はぼくらお互いが理解し合えている者が変えていかないとね。」と、今回のデモについてメールで語った元同級生。
人対人のレベルで一生懸命理解しようと努力をすれば、やがて心が通じることは確実だ。出会った瞬間から国が違うというだけで憎しみ合うのはもうやめよう。世界人口60億人分の1のあなたに出会えたこと。それが一生の中でどれだけすばらしいことか、気が付いてほしい。
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