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| 風邪の引きかけだと言うと、「鶏湯 jitangを飲んではやく寝るといい。」と言われる。「鶏湯」は鍋に水を入れ、鶏のぶつ切り・ショウガ・ネギ・紹興酒・塩・コショウを入れてコトコト煮るだけのシンプルなスープだが、体が温まり、確かに風邪が治るような気がする。出産された方や疲れている人は、干しナツメを入れると増血作用があるそうだ。ナツメは暗紅色でプルーンのような味。初めは鶏湯と一緒に食べるには甘いように感じたが、食べ慣れてくると塩味の鶏湯と合っておいしい。中国ではスープ用の漢方薬セットもよく売られていて、それらを一緒に煮込めば、滋養豊かな漢方スープになるが、干しナツメだけでも漢方薬スープ気分が味わえる。翌朝それが「凍子dongzi(煮こごり)」になっているのも楽しい。ぷるぷるしたゼラチンは、いかにも乾燥しがちな皮膚に効きそう。味を整えてギンナンやエビ・菊花などの具材をあえると、ゼリー寄せになるし、黒酢でゆるめてゼリー・ドレッシングとして使うこともできる。中国語では煮こごりもゼリーも同じで、肉の煮こごりは「肉凍児 roudongr」、魚の煮こごりは「魚凍児 yudongr」、果物のゼリーは「果凍児 guodongr」である。 熱々の小籠包の中からあふれてくるスープも、もとは煮こごりで、皮に包む前はちゃんと固まっていて、蒸すと煮こごりが溶けてスープが皮の中にあふれる仕組みになっている。 |
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〈浅山友貴〉 |
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