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後年、この日本公演のビデオを手に入れた。「いま見てもこの孫悟空はすばらしい。俳優って責任重大ですね、人の人生を変えるんですから。」 あることに興味を持つとその情報が集まる。いつか孫悟空を演じるために…、中学生になると近所の中国語教室に毎日通い、東京のアマチュアグループ「京劇研究会」で週1〜3回、立ち方・歩き方から京劇の基礎訓練を始めた。80年代後半になると京劇の日本公演も多くなる。「親に借金して」チケットを手に入れて京劇を観るようになり、さらに舞台の脇で劇を観ながら、覚えた中国語で京劇俳優と交流した。 日本の京劇界でいま名前が挙がる、楽戯舎代表で(財)日本青少年文化センター常務理事の津田忠彦氏や京劇研究者・加藤徹氏にはこのころ知遇を得、高校生の時には京劇研究会の1年に1回ある公演の舞台に立つようになった。
4年後に中国戯曲学院(大学課程)に進学し、続けて演技を専攻すると、さらにストーリーの理解、劇中人物の心理描写など、学ぶことに限りはなかった。「芸は観客に見てもらわなければ上達しない、観客の前に!」と、北京の街角の茶館の舞台に立った。 中国文化部直属の中国京劇院に入団したのは01年、「京劇俳優・石山雄太」が誕生した。 中国の心を理解しようとしてきた人が言う。「京劇を観れば中国がわかりますよ。中国人が何を大事にし、何に魅力を感じてきたのか、それがよくわかります。」 「孫悟空を、孫悟空が生きているように演じたい。」いまなお研鑽の毎日である。「京劇は役者を見てほしいですね。初めて自分の芝居を観た人が、自分が初めて京劇を観たときに感じたように感じてくれるよう、一つ一つの舞台を心して演じていきます。」 「京劇界史上初の外国人俳優」という冠は、初心を持ち続けた人の汗と血の大きな勲章である。 この6月、楽戯舎が招聘する吉林省京劇院が、《京劇西遊記〜火焔山》を公演します。あなたも京劇の世界をのぞいてみませんか? |
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| (インタビュー 新倉洋子)
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