
李艶薇さん
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ハローワーク(公共職業安定所)をのぞいたことありますか? ハローワークは進化中! 子育てしながら就職・転職を望むお母さんに担当者がついて支援するマザーズハローワークが昨年発足、フリーター・ニートとその家族のための就職相談などなど、きめ細かく、しかも無料。
横浜中華街に近いハローワーク横浜には、外国人雇用サービスコーナーもあります。通訳は英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語。日本に住む外国人2百万人超、横浜市には外国人7万人超が住む時代、ハローワークは、適正な就労ルートを通じて仕事を見つけ適正な雇用管理の下で働くことを促進するため、日本で働く資格を有する外国人にも日本人と同様、職業相談・求人情報の提供・就職先の斡旋等のサービスをしています。
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このコーナーで就職相談にのる李艶薇(り えんび)さんは中国人。62年に横浜中華街で生まれ、育ち、今もここに住む華僑3世。子どものころを知る人は、えみちゃん、と呼びます。
李さんが11年前に仕事探しにハローワークを訪ねたとき、「ここで働きませんか?」と。以来、事務補助、雇用保険受付などを経て、今年4月から嘱託ながら職業相談員・外国人担当。「相談者の中には日本で働く資格のない人もいて、そのような人は就職活動の前に、まず入国管理局などで許可を得なければなりません。」日本在留資格が「永住」「定住」や、日本人や永住者の配偶者などは、どのような職業に就くのも自由。他の資格は就く業種・職種・内容が限定されています。「日本では日本語ができないとなかなか仕事がない。日本語を使わないですむ仕事を探して、決まるまで1年近くかかることも。日本語ができない人にはまず日本語を学ぶよう助言して、その情報を伝えます。」
コーチングってなんですか? 人生に、スポーツコーチのようなコーチがいれば人生を歩みやすい、人が自らもつ能力をその人自身が引き出せるようにコーチが導く、という考えに共感し、李さんはコーチングを学び資格を得た。「相談者に接する時、コーチングの考えや手法が役立っています。この考えや手法は家族、特に子どもに対しても有効で、よい親子関係が築けますよ。」
どういう仕事に就きたいか、就くか? 労働が流動化するこれからの日本では、生涯にわたるキャリア形成が働く人自身の課題となり、また転職・再就職にはサポートが必要。そのためのキャリア・カウンセラーを、厚生労働省は5年で5万人養成することを目指しているそうな。李さんは日本プロフェッショナル・キャリア・カウンセラー協会認定のキャリア・カウンセラーである。「高い受講料に夫はあきれたけれど、私は、勉強する私が好きなので。」
えみさんは歌が好き。高校生のときに音楽教師に勧められ、声楽を志す。高校時代は横浜交響楽団合唱団に所属し、テノール歌手・篠崎義明氏に指導を受けた。レッスン代はアルバイトでまかなったとか。子育て期のブランクを経て、中華街の女性が結成した黄河女声合唱団には20年前の発足から参加、「これは今、休団中。」その後も弓削昌子・劉純実氏に師事して声楽(ソプラノ)を学びながらコーラスやコンサートに参加し、02年、ついに初リサイタル《李艶薇 中国歌曲演唱会》を横浜の関内ホール小ホールで開くに至る。学び続けて40歳のことだった。今年は春節祭に媽祖廟のステージに立ったので、その歌をお聞きになった方もあるのでは?
えみさんは実はお孫さんがいる若いおばあちゃん。自身若くして結婚し、あのころは周りもそうだったように大家族で暮らし、日々の生活から学んだ。「来日1世の祖母は口うるさいおばあさんだったけど、彼女なりのスジがあって、結構みなさんに頼りにされていた。私も、私の生き方をこの街や社会に還元できるといいな。」
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弓削昌子とぐるーぷどるちぇ演奏会にて(97年)
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