古月清舟
胡興智(日中学院)

佳肴美味外来語

  ぼくは外来語に弱い。いまだにマックで、フライドポテトを頼むつもりがフライドトマトを頼んでしまいそうで、入りづらいし、大好きなケーキが私を手招きしているのに、あの呪文のような記号を読めず、よだれを飲み込んで、ついでに涙をのんで、店を後にしたことも1度や2度ではなかった。

  明治時代に漢字で「政治」「経済」「哲学」などの日本語を作った先人が現在も健在だったら、あの呪文のようなメニューをおいしそうな漢字に翻訳してくれたに違いない。

  そういえば、「カラオケ」の中国語訳は、最初のころ「客楽我歌」だったと記憶している。ぼくは「 拉OK」よりこちらのほうが、「可口可楽」に匹敵するぐらいの名訳だと思う。「 拉OK」の「 拉」は音だけで、「OK」は意味はあるが、これはもう中国語ではなくなってしまっている。無国籍料理ならぬ、無国籍風中国語だ。

  何でもスピードが求められる時代には、次々に現れる新しい言葉のために漢字をゆっくり吟味して翻訳している暇はないのだろう。でも、ぼくはおいしそうな漢字のメニューが並ぶケーキ屋が現れるのを楽しみに待っている。

    先人の知恵と哲学無駄にせず
   共に味わう言葉の旨さ

(日中学院)

 

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