(No.19-2000.2)【曽徳深】


 一年前、横浜中華街でI love Chinatown Yokohama の運動が提唱され始めたころ、春節賀詞交換会の席上の挨拶で、私は「恋は瞬時にして生まれるが、友情は時間の蓄積が必要です、ところで愛は…」と言い始めて、頭の中が真っ白になって後に続く言葉が見つからず、「一言では言い表せません…」と、往生してしまったことがある。

 2000年の元日、暖かな陽気の中、年始回りで歩いていたら、すべての街路灯に黄色いフラッグがはためき、I love Chinatown Yokohama、我愛任中華街、好きです中華街、…韓国語、ロシア語、ドイツ語など数か国語が誇らしげに踊っていた。「好き」はLOVEの訳語としては正確でないなあ…
 あなた達のLOVEは「好き」程度かといわれそうだし、「愛しています中華街」はバター臭くて、気障っぽくて、イマイチしっくりしないなあ…。「愛」を辞書で調べてみた。
 1.いつくしむ
 2.異性を恋う
 3.大切に思う
 4.好むとある。
 3.の「大切に思う」が一番言い当てているが、さて中華街をだれが?なぜ?中華街のなにを?どのように?愛するのか。
 そもそもI love Chinatown運動の提唱者は商業団体の横浜中華街発展会(協)であるが、商業目的よりもむしろコミュニティとしての街づくりに力点が置かれている。中華街では日本人、中国人が一緒に暮らし、働いて一世紀半近くになる。黒船による横浜の開港で異文化が出会い、長い歳月の中で葛藤、理解、受容、融和を繰り返しながら街は育ってきた。

 先人の汗と思いに後を継ぐ者の志を新たに重ねて、大切にしよう、その気持ちがLOVEにこめられている。


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