恭禧新年!(新年おめでとう)小翠:留学生(在日8年) 莉々:在日華僑三世

小翠:
ところで、日本の人って本当にテレビで見るような「おせち料理」を食べているの?必ず箱に入ってて、色合いも、とってもきれいだけど、どうして冷たいお料理なのかな?それに、種類がたくさんあって作るのも大変そうだね…。
莉々:
日本の「おせち料理」って一つ一つ意味があるんだよ。たとえば「昆布は喜ぶ」、「数の子は子だくさん」とかいろいろね。料理が冷たいのは、お母さんにお正月ぐらいは、台所から離れて休息してくださいっていう意味があるんだよ。だから、多種多彩で飽きないようにできてて、保存食でもあるんだって。でも、たくさんあって手間もかかるから3、4日前から準備するんだって。
小翠:
じゃ、莉々もその「おせち料理」を食べているの?
莉々:おせちは祖父母から受け継いだ中国のおせちを食べるけど、お雑煮も食べるし、親戚が集まって水餃子パーティーもするし、とにかくお正月は食べるのに忙しいよ。
小翠:
日本で生まれても、中国の習慣を大事にしているんだね。でも、ほかの日本にいる中国の人はどんなものを食べているのかな?莉々:そうだね、ちょっと調べてみようか。〜アンケート集計後〜莉々:
へぇーびっくり、大晦日はほとんどの人が麺(めん)類を食べているね。
小翠:
本当だ、中国の人も日本の年越しそばと同じ、中国の「太平麺」を食べてる。
莉々:
なにそれ、初めて聞いた。おしえて。
小翠:
中国の伝統的なおせちの中に「鶏鴨魚肉麺」というのがあるんだけど、日本のおせちと同じように、一つ一つに意味があるんだよ。天を舞う鳥、地を走る動物は万物を表し、魚は中国語で余裕の余と同じ「ユイ」と発音するので、中国のおめでたい言葉の「年々有余(魚)」(年ごとに経済的に余裕ができる)にひっかけている。また、正月に食べる麺を太平麺と呼ぶの。日本のそうめんのように細いけど、長さは1メートル以上にもなる。いつまでも長生きして欲しいという意味が込められているんだよ。お正月以外は寿麺(ソウミェン)と呼んでるわ。莉々:へぇー、一つ賢くなった。小翠:ところでさ、日本のそうめんと中国の寿麺(ソウミェン)って同じ音でしょ。そうめんって中国から伝わったものだけど、名の由来もそうなのかな?ねぇねぇ、どうなのかな。
莉々:
じゃ、調べてみよう。
莉々:
揖保乃糸(いぼのいと)で名高い「広島県手延べそうめん協同組合」に聞いてみたよ。そうめんが日本に登場したのが、奈良、平安時代に遣唐使によって伝えられたんだって。特に、七月七日に食べると疫病にかからないといわれ、健康食品として扱われていたみたい。そうめんと呼ばれ始めたのは1430年室町時代からで、それ以前は、索麺(さくめん)、麺線と呼ばれていたんだって。
小翠:
おもしろいね。でも台湾では元々そうめんのこと、麺線(ミェンシェン)っていうよ。
莉々:
そういえば、そうだね。話を前に戻すけど。この火鍋って中国の鍋だけど、お正月に食べる鍋にも何か意味があるの?
小翠:
火鍋と餃子って南北共通の食べ物だけど、特別なときの主役になるのは、長江を境にして南は火鍋、北は餃子に分かれる。どちらも食事の支度から食べるまで、家族全員で行うんだけど、中国のことわざで「家和万事盛」というのがあって、家の中が平和であれば何事も盛んになる、という意味がある。一家がテーブルを囲んで、お正月を仲良く楽しみ、家内安全と平和を願う心が一家の繁栄につながるといわれているんだよ。
莉々:
そーか、だからうちの家族も親戚も、1月1日と2日は昼も夜も集まって宴会をするのかな?小翠:
習慣や風習って知らない間に子孫に伝えられていくからね。
莉々:
そうそう、だから何の意味があるか分からなくても、食べないと落ち着かないんだよね。
小翠:
じゃ私もこれからは、日本の食文化をどんどん取り入れて日本の食について勉強しなくちゃ。
莉々:
勉強なんて言って、ただの食いしん坊じゃない。

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