パームヤシの惨劇

Fromインドネシア【by小熊猫】

 大小30の島々から形成されるインドネシア。その風光明媚さと独特の文化はバリ島を始めとしツーリストの心休まる場所として脚光を浴び続けています。そして半世紀の昔、大打撃を受けたインドネシアの地は今年、「煙」によって深刻な局面を迎えています。今回は秋口から新聞をにぎわしているインドネシアの森林火災についての話をお届けします。

 今年の夏頃からスマトラ島、カリマンタン島(ボルネオ)で頻発し始めた森林火災は、その焼失面積30万haにも及び、排出される煙霧が国境を越えマレーシア、シンガポール、タイなどの東南アジア一帯に広がり各地で大気汚染、健康被害(気管支炎やぜんそく)、重大事故などを次々と引き起こしています。特にスマトラ島でのガルーダ機墜落、シンガポール沖タンカー衝突事故などの大惨事は煙霧による視界不良が原因である可能性が高い。

 元凶は伝統的に行われている「焼き畑」。パーム油製品の国際消費急増に伴う原料であるアブラヤシ増産のため、パーム油製造企業が法律を無視してまで焼き畑で耕地拡大を図ったことが大規模な煙害を生んでしまったようである。

 しかもエルニーニョ現象の影響で雨量が例年の10分の1という状態が火災範囲の拡大に貢献。国際的救援活動も進んではいるが火が地下に潜るため、消火も困難を極めている。タイの通貨危機の影響もプラスし経済に与える打撃は計り知れないであろう。しかしこれほどまでに「焼き畑」へ走らせた「パームヤシ」ってどこかで聞いたことないですか?そうTVコマーシャルなどで頻繁に出てきますよね、「手に優しい洗剤」とかで。なんか以前にも同じようなことがナタデココ。

 ブームが去ると土地と人を奈落の底へ引き落としたと記憶しておりますが…。
 時代はエコロジー&オーガニック。地球温暖化への影響が限りなく心配でなりません…。


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