これはなぜ?

【味の話】



 横浜中華街の中国料理店て、お店の特徴として広東料理を掲げる店が多いですね。
 これはなぜ?

 中国といえば、国土があまりに広大なゆえ、風土や食習慣・特産物の違いから、地方により料理に特色があるのは皆さんもご存じの通りです。

 黄河下流の山東料理、長江上流の四川料理、長江中・下流と東南沿海の江蘇料理、珠江流域と南部沿海の広東料理は、中国料理の「四大料理」といわれています。山東料理のかわりに北京料理、江蘇料理のかわりに上海料理を入れることも。味の違いは、山東料理は味が濃く、四川料理はぴりっと辛く、江蘇料理はあっさり味、広東料理は「鮮甜(甘みがある)」といわれます。

 横浜中華街にある600軒ほどの店舗のうち、中国料理店は3分の1の200軒弱。 そのうち、1番多いのは確かに広東料理の店、次に多いのは上海料理店、3番目は北京料理店です。広東料理の店は6、 70パーセントを占めますからやはり多いですね。戦前からある中国料理店は数えるほどですが、当時2軒以外すべて広東料理店だったとか。

 どうしてそれほど広東料理の店が多いのか?それは横浜中華街とその周辺に住む、昔から定住している中国人、すなわち華僑に広東省出身の人が多いから、というのがその理由。ずっと昔から、中国人が中国から海外に出る時は、同郷の人を頼っていき、頼った先の人と同じ仕事をすることが多く、広東の人の場合はそれが横浜であり、料理の仕事であったということですね。

 横浜に住む華僑は福建省出身の人も少なくないのですが、その人たちは料理以外の仕事をしている人が多く、 福建料理を掲げる店はほんの2、3軒です。

 中華街には四川・湖南・山東料理の店もありますよ。味わってみてはいかが?




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