(No.12-9812)【曽徳深】
 我が家に犬がいる、名前はコーキ、犬種はラブラドール。犬を飼いたいと言い出したのは真ん中の娘で、ちょうど中学校にあがったころだった。母親は猛反対、以前飼っていた雑種を、十分に面倒を見られなかったために病気で亡くしてしまった辛い思い出がある。多数決で決めることにした。賛成二票、反対二票、棄権一票で、採決は不調に終わった。賛成票を投じた父親が、世帯主の権限を行使して飼うことにした。ただし、家の中で飼わない、いかなる場合も母親は責任を負わないという二つの条件がついた。父親は、小犬から育てることによって、娘達のしつけに役立つのではないか、犬の散歩で自分の運動不足を少しでも解消できるのではないかと考えた上での決断である。

 さっそく犬種の選定に入る。従順で、体毛が短く(以前の雑種は毛が長く、ダニがついて亡くなった)、あまりほえない種類を探す。盲導犬をやるぐらいだから、ラブラドールがよいだろうということになった。

 散歩は朝晩連れて行くが、そのうち夜中にほえ出すようになった。近所迷惑と思ってその都度父親が散歩に連れ出す、夜毎起こされる父親はふらふらである。母親から「これじゃ本当の犬死にになるわよ、学校に入れたら」の提案で、全寮制(?)の警察犬訓練学校に入れる。そこの校長先生いわく「飼い主も何回か一緒に訓練を受けないと、効果があがりませんよ」と。忠告にしたがって訓練を受けて卒業した。夜中のコールは止まったが、きかん気は相変わらずである。人間、犬、いずれの訓練に問題があったのかは定かでない。


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