これはなぜ?

【紙の話】



中国の切り紙細工、剪紙。中華街のおみやげとしては影が薄いけど、魅力は十分。剪紙ってどんなもの?

  少し昔、日中の国交が正常化してしばらくのころ、中国へ出かけた人からおみやげに剪紙(せんし)をいただいた。ナイフの切れ味、多彩なモチーフに、身近になった隣国に思いを馳せたものです。 当時も今も、日本人が手にする剪紙は、観光用に作られたものが多いのですが、中国の農村の人々が自分たちのために自ら作る剪紙はずっと素朴なもので、農村の生活に深く根付いています。正月に玄関に、窓の飾りに切って貼り、喜びを添え、葬送の際にはそれ用の剪紙を使って哀悼の思いを表し…と生活に密着しているのです。 素朴な伝統的な絵柄、手の込んだ娯楽的題材の絵柄、といろいろありますが、剪紙の伝統的な主題はといえば生命崇拝、祖先崇拝、祈福求安、これはほかの民間芸術と共通しています。たとえば片手に鳥、片手にウサギを持つ子供を描いた素朴な剪紙があります。鳥は太陽、ウサギは月を現し、陽陰結合して人が生まれる、同時に魔除けの意味をもつというわけです。 剪紙の歴史は古く、紙による剪紙が生まれる前の、金銀箔や皮に透かし彫りをしたものが古い墓から出ています。剪紙の図案は地方により特色があり、一般的に北方では窓の飾り用のものが多くてその造形は誇張され豪放的、南の人々の剪紙は贈り物などの飾り、刺繍の図案など繊細で優雅、という具合で、図案を見ればどこの地方の剪紙か分かるというほど。 剪紙はもともと民俗的産物、現代にあっては精神の栄養物、すばらしい芸術の域に達したものもご覧になることがあるでしょう。横浜の中華学校では学生に剪紙を指導しています。剪紙の魅力をあなたにも!

 


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