蛋撻(タンタ)のある風景

蛋撻はなんといっても焼きたてが美味。そんなあなたはぜひ手作りにトライして!
蛋撻のつくり方図解
材料/直径5.5cm×高さ1.5cmのタルト型約10個分
[生地]★(砂糖40g、柔らかくした無塩バター23g、カスタードパウダー15g)、薄力粉170g、ラード100g、卵25g
[中身]水100t、卵90g、砂糖大さじ3、エバミルク10g

作り方/菜香食品調理部のレシピによる
1.まず生地から。台に★をのせほぐすように混ぜ、均等に混ざったら手のひらで押し混ぜ一体化させる。
2.1.にラードを加え、よく混ざったら卵を加えさっくり混ぜ、ふるった薄力粉を加えていねいに混ぜる。その後ラップにくるみ冷蔵庫で1時間ほどねかす。
3.生地が締まったら台の上で棒状にのばし、20gずつにカットして型に押しつける。この時型へりから5mmほど生地が出るようにする。
4.中身を作る。ほぐした卵に、あらかじめ分量の水でといた砂糖とエバミルクを入れよく混ぜた後、なめらかにするため裏ごし器でこす。
5.3.の八分目まで4.を入れ、200度に熱したオーブンで20〜25分焼く。ちょっとゆすってみて中身が動かなければ焼き上がり。こげそうなときホイルをかぶせるなど調節。できあがり!!

 蛋撻。広東語でタンタと読み、直訳すると「たまごタルト」。何ともかわゆい響きを持つこの蛋撻は、広東や香港の昔からの定番おやつ。香港に行くと、街角のパン屋や茶餐店(喫茶、軽食店)の店頭に焼きたてが並んでいて、老若男女が買い求めていくほのぼのとした光景が見られる。ちなみに香港では蛋撻を3つ串刺しにして「タンタ3兄弟」として売るのが流行中(ウソ)。日本では「カスタードタルト」「プリンパイ」などいろいろな呼称があるが、どれもみんな蛋撻のこと。
 洋菓子のプリンやシュークリームなど、「カスタード」と聞いただけで何とはなしに郷愁に駆られ、つい口にしたくなる人は多いようで、蛋撻も10年程前の日本上陸以来人気がある。蛋撻の特徴は、カスタードクリームほど牛乳が入らないためにたまごの風味が生きていて、見た目よりあっさりした甘みであること。その鮮やかな黄色とツヤツヤの表面がもう辛抱たまらんって感じで思わず部屋のインテリアにしてしまう人も(いない)。それはさておき、そんな可憐なたたずまいの蛋撻に約2年前からケンカを売っている(?)のが葡式蛋撻、いわゆるポルトガル風タルトである。もともとどちらもルーツは同じなのだが、ポルトガル風の方はマカオ在住のイギリス人が始めたのが元祖だけあって、バターも砂糖もたまごもたっぷり使用し香ばしく仕上げた、いかにも彼の地を連想させる重厚さあふれるものである。これが香港に支店ができたとたんに新し物好き香港人に大ウケし、最近日本でもブレイクしたという訳。
 が、これはやっぱり洋菓子系。中国茶にもよく合う繊細でやわらかな風味こそが蛋撻の持ち味だと思うのです。葡式蛋撻もおいしいけれど、その焦げ目や油脂たっぷりって感じがコギャルをイメージさせる、のは私だけ?

イラスト/加藤暖子


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