これはなぜ?

【玉の話】



 中国の人が好んで身につける宝石は玉(ぎょく)、中でもひすいがいちばん。
 これはなぜ?

  中国の人は日常的に金や宝石を身につけていますね。

 その理由の一つは、というと、激動の時代・地域を生き抜くためには、小さなものでかつ高価なものを身につけておき、なにかあったら身ひとつでも逃げられるようにしておくため、などと説明されます。

 宝石といえば、中国人は昔から玉(ぎょく)に対し、特別な感情を抱いてきました。その色、温かみのあるつくりを愛しただけでなく、さらに、霊気のあるものとみてきました。古代の王の墓からは糸縷(しる)玉衣という、幾千の玉片を絹糸で結びつけて衣としたものが出土しています。人々は玉は身を守ると信じましたし、玉を身につけることで貞潔や忠誠を表し、あるいは気骨の高いことを示しました。また薬効もあり、腎臓病に効き、子供のかんを抑えるともいいます。そうした玉に込める愛着は現代の中国人も変わらないそうです。

 玉の色には羊の脂のような白、大地の精気を吸い取ったかのような褐色などがあり、それぞれが好まれますが、なかでも透き通った緑色こそが玉の色といわれます。

 玉にはミャンマーが主産地の硬玉、中国北西部産の軟玉などがありますが、この硬玉こそがひすいを指します。美しい玉のなかの最たるもの、ひすいというわけ。硬軟は硬度の違いです。アルミニウムケイ酸塩類鉱物のひすいは硬度7度でダイヤモンドほど硬くはないが、耐圧性はダイヤモンド以上、また千度の高温にも耐えるとか。

 翡翠(ひすい)、中国語でも日本語でも鳥のカワセミという意味もある「ひすい」、人を魅了する多姿多彩な姿は名前にふさわしいと思いませんか。


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