獅子と獅子舞のあれこれ
きみは、獅子を見たか!?

獅子(しし)って英語ではLION(ライオン)、でもイメージが違うと思いませんか?獅子のあれこれを一挙公開。

「獅子滾繍球(獅子が玉で遊ぶ)」と題する絵柄の皿。雌雄二頭の絵柄もある。
 獅子――ライオンはもともと中国には存在しません。後漢の時代(西暦25〜220年)に西域の琉勒国から贈られたのが初めといいます。そしてその時代の武氏の祠廟(ほこら)に置かれた一対の石造りの獅子像が、中国でもっとも早い獅子の造形物であるといわれます。これ以後歴代の王陵墓には必ず獅子の石像が置かれるようになりました。
「九世同堂」という題の凧(たこ)。「九世」は「九世代」、中国人は九世代が同時にこの世に存在することをこの上ない幸せとした。中国語では「世」と「獅」は同じ音なので九頭の獅子が描かれる。
 獅子――伝説では釈迦牟尼が生れた時、一方の手で天を、一方の手で地を指差し、獅子吼(ししく/獅子のほえる、雷のような声)で「天上天下唯我独尊」と言ったといいます。これより獅子は神格化され、仏法の威力の象徴とされ、釈迦に侍る文殊菩薩が乗る神獣になりました。今も高僧の座るところを獅子座といいます。古人は獅子を「百獣の王」として、百獣を鎮め、魔除けをし、護法の益があると貴びました。古代建築では、家の魔除け、かつ威厳を示し財富や権力を象徴するため門前に獅子が置かれました。
 獅子――この外来動物の造形は、早くに中国の文化に吸収され、西洋のライオンとは異なった造形、中華民族の特色を持つ造形として各種装飾図案に応用され、「吉祥」の意味を与えられてきました。肉が盛り上がり、胸を張り猛々しい、しゃがみこんだ姿と頭部の巻いた毛という、中国の獅子の独特の形態は唐代に始まり今に伝えられるといいます。
 獅子舞は、後漢時代に書かれた『漢書・礼楽志』の〈孟康注〉にあるように、古くから舞われていたといいます(異説多い)。獅子の霊力を借りて「招福駆邪(福を招き邪をはらう)」の気持ちを表す獅子舞は生活に欠かせないものになっています。
唐の時代の三彩の獅子。 獅子の形をした陶製のまくら。 大きな頭、かわいい目が特徴の南方獅子。(a) 横浜関帝廟の獅子。(e)
中華街でお祝い事に獅子舞は欠かせない。太鼓・シンバル・どら、そして爆竹の音と煙の中ではね回るその姿は一度見たら忘れられない。
高い台に登って妙技を披露。(b)
関帝廟で奉納の獅子舞。(d)
女性の獅子舞もご披露、小ぶりで愛らしいでしょう。(g) シンガポールから北方獅子がやってきました。(f)

採青(ツァイチン)
中華街を回る獅子が、お店の軒先につるされたご祝儀をいただきます。そのご祝儀は青菜に包まれています。それを採るから「青を採る」で「採青」。青菜は獅子の好物。

北方獅子と南方獅子
中国の獅子舞には北方獅子舞と南方獅子舞の二種類ある。北方獅子舞は揚子江以北の地に広まり、金色一色の長い毛、大玉に乗り、シーソーで遊ぶ愛らしい獅子で、雑技(サーカス)などで演じられることで有名。南方獅子舞は、中国南方で盛んな獅子舞。華僑は南方出身の人が多いので、世界のほとんどのチャイナタウンで行われている獅子舞はこちら。大きな頭、体は一枚の布、その色は金・銀・赤・黒など。中国の武術の影響が大きい、勇壮・豪快な動きをする。

横浜中華街、ここへ行けば獅子舞が見られる
獅子舞を舞うのは、横浜華僑青年会龍獅團(團長唐朱維さん)(c)
ホームページにどうぞ
http://www.aurora.dti.ne.jp/~ryusidan/

その1 旧暦6月24日(今年は8月5日)関帝廟にて関帝誕(関帝廟に祭られる関羽様の誕生日の祭り)。
その2 10月1日国慶節(中華人民共和国建国のお祝い)。中華街全域にて採青。
その3 10月10日双十節。中華街全域にて採青。
その4 12月31日大晦日、関帝廟にてカウントダウン。
その5 春節前夜(2000年2月4日)関帝廟にてカウントダウン。
その6 春節(2000年2月5日)中華街全域にて採青。
その7 春節祭りの舞台(2000年2月6日)。
その8 運よく中華街で開店、竣工式などに行き合えば見られます。
その9 運よく華僑の結婚式におよばれすれば見られます。

写真提供 (a)〜(f)黎啓榕 (g)横浜中華街発展会


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