この街大好き!
写真家・薬袋勝代の見た横浜中華街


 いつも人でにぎわう中華街。街で暮らす人たちや街を訪れる人、そして街の活気をそのまま表すような極彩色の建物、これら街の全てが中華街の元気だ。そして中華街を訪れる多くの人たちも街の大切な活気であり魅力でもある。だからこの街を訪れるあなたも、この町の開港当時からの歴史の中の大切な活気だ。そして中華街の迷うことなく突き進む活気は、遠い異国の知らない街の不思議を誘い、心地よくこの街を訪れる人を元気にしてくれる効果もある。
 街のどこかから聞こえてくる中国の音楽の旋律に乗り流れる赤と金の極彩色の街並みは、この町のミステリアスを秘め、狭い路地にひしめく。時折吹く港からの湿り気のある風が活気で沸騰した空気を潤わせる。そして、港の風と海が広い世界につながるように、何気なく眺める中華街の全てが、限りなく広い世界に続く。それは毎日変わることなく関帝廟で続いてきた祈りや街で行われるお祭り、街のデザイン、店舗の装飾や調度品にいたるまで、この町の全てがなにかにつながっている。それは遠い大陸だろうか、はたまた望郷の心か。その先に見える何かは、今日もにぎやかなエネルギッシュな中華街を訪れ自分で確かめるしかない。

 

薬袋勝代(みないかつよ)
1986年京浜女子大学卒業、OLを経て夜間のデザイン学校に通う。その後、日本映像学院に入学。卒業後、同校校長、報道写真家・浜口タカシ氏に師事。大好きな中華街の追っかけをライフワークとする。90年・神奈川二科展・二科賞受賞、92年・個展「横濱・關帝廟」、個展「YOKOHAMA・CHINA‐TOWN」、93年・グループ展「女の視点」、95年・個展「横濱關帝廟」。現在、神奈川新聞横浜版「中華街追っかけマニュアル」連載中。神奈川二科会会員。


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